独立行政法人国立病院機構 石川病院

池田 富三香さん 【お名前】 池田 富三香さん
【病院名】 国立病院機構 石川病院  【役職名】 看護部長
【これまでのご経験】
学校卒業→国立病院→看護学校(教員)→国立病院(石川県内や県外の病院)→看護学校(教育主事)→石川病院
看護部長4年目。 ※取材日…2016年12月(看護部長さんは取材当時の方です。)
 

看護部長のお仕事について

自宅が病院から離れたところにあるので、今は高速を使って車通勤しており、朝6時40分に家を出て、7時半に病院に着きます。8時15分に夜間の申し送りをしに師長さんたちが来るので、それまでにメールチェックや当日の仕事の確認、決裁の対応などをします。朝の自由時間は大事ですね。
申し送りを聞いた後は、副部長、医療安全係長、地域連携係長兼教育担当と私の4人で、1日のスケジュールを確認をします。内容は会議や打ち合わせ、研修についてですね。その他、うちの病院は急性期で1病棟しかありませんが、回復期で受け入れる紹介の患者さんが多いので、入院が長くなりやすいんです。そうするとベッドの調整が大変なので、その確認もします。

その後、院長、副院長、事務部長に1日の流れと患者さんの状況を報告します。臨床で起こっている、細々とした問題も院長の耳に入れるようにしています。それは院長に出てきて解決してもらうという意味ではなく、必要な人に必要な内容を共有するという趣旨ですね。そのささやき・つぶやきが大事かなと思います。小さい病院で縦割りにしていたら大変なので、みんなで問題を共有しています。例えば、組織のピラミッドって、スタッフが多いと大きなピラミッドになりますよね。うちは看護師100人で、他のスタッフを入れても180~190人くらいとピラミッドが小さいんです。そうすると、ピラミッドの階層も少ないし、下まで見えるんです。大きいピラミッドだと下までは見えないので、問題をきっちりと上げてもらわないといけません。また、自分でちゃんと見て、問題を確認しないと、ピラミッドはあっという間に形が歪んだり壊れたりしてしまうので、自分たちの目でしっかり見るようにしています。それが小さい病院の強みかなと思います。

院長への報告が終わったら、また自分の部屋に戻って、今日やらなければいけないことの対応をします。また、なるべく1日に1回はお部屋の中も見ながら病棟をゆっくり回るようにしています。職員がどういう風に働いているかを見たり、患者さんや職員に声掛けをしています。気になったことは後で師長さんに伝えるようにしています。必要に応じて、午後にも回ったりと、なるべく院内は歩くようにしています。
病院の中で何が起こっているのか、幅広く自分の中で見ておくようにしています。病院内のことについて、いろんな方面から話を聞くことがありますが、私は疑り深いので、他者から聞いた事をそのまま信用するという訳ではありません。その人が言ってきたことは、その人のフィルタがかかっているので、必ず自分の目でみたり、複数の人に話を聞いて最終判断をします。

仕事のやりがいについて

「ひとりひとりの人生を大切にする医療を実践します」という石川病院の理念がとっても素敵なので、患者さんの生活や地域のことを考えて、看護ができるようにプロジェクトに取り組んだり、教育体系を整えたりと、それらをみんなで実践できるとすごく嬉しいです。
その他に、看護について師長さんが悩んでいる時に、師長さんと副師長さんが力を合わせて乗り越えたり、病棟で看護師さんが頑張って、「患者さんの看護をこういう風にしました」「看護について研究して発表してきました」など、成果が出ることもすごく嬉しいです。

看護師のキャリアプランについて

どの看護師さんも、どれだけ年齢を重ねても成長したいという気持ちは持っていると思うので、看護師が「こんな勉強がしたい」という希望を持っていないかを師長さんに見てもらっていますし、私も見るようにしています。どういう病棟に行きたいか、受けたい研修の有無、自分がステップアップしたい分野があるかを、年に1回書いてもらうのですが、意外にみんな書かないんです。希望を書いている人はもちろんピックアップしますが、希望を書いていない人の中でも、「こういうことがやりたい」と言ってもらえると嬉しいです。国立病院は幹部看護師候補者任用制度というものがあり、ある程度の年限が経つと、ファーストに相当するような研修を受けて、試験を受ける資格が出るんです。そういうところから、やってもらえればいいのかなと思います。

認定看護師をとった看護師は院内に1人なのですが、やっぱり1人出ると次に繋がると思います。こちらから看護師に「どう?」と声をかけたり、希望も聞いたりしています。認定看護師として学びに行った以上は、臨床で力を発揮してほしいというのが前提なので、この厳しい世の中、行っただけという訳にはいかないですね。
若い人がこの病院に就職する場合もありますが、他の病院で働いてからこの病院で働くパターンはそれ以上にあります。そうすると、この病院が看護師さんの2番目のキャリアになっている場合が結構多いんです。「元々は急性期で働いていて、子育て終わってこの病院にきました」など。そういう人たちも含めて、子育て期などライフプランに合わせて、無理せず長く働けるように、看護師の希望を出させてあげないといけないかなと思っています。

面接などで学生に質問すること

「実習などで患者さんと関係をもってできたと思う体験」については割と聞いていますね。こういう質問は絶対聞かれると学生さんも思っているので、練習してきていますね。「この病院を選んだ動機」や「実習でのいい看護の体験」など、いわゆる学生が練習してくる質問ってあるでしょ。それは必ず1問聞くようにしています。理由としては、学生さんに「答えられた!」という体験をさせてあげたいからです。面接の練習というのは、看護に対する考えをまとめることに繋がるものなので、それをきちっとしているかは見ています。よく聞かれる質問すらまとめてないというのは、試験に対する準備や姿勢が不安になりますね。物事に向かう時には、自分の最大限の努力や準備をすることが大事だと思います。
学校で教育主事をしていた時は、よく聞かれる質問についてもそうですが、自分のいいところや強みになることについて練習しておくといいよと伝えていました。

学生へのアドバイス

色んな職業がある中で看護師を選んだとしたら、まずは「看護師を選んでくれてありがとう」ということを伝えたいですね。看護師さんは簡単には選択できない職業だと思います。時間帯や体力、なにより命をお預かりするという責任があります。また、治療や医学のことを学ばなければ、責任を持って患者さんに恩返しもできません。それらを含めて、看護師になろうと思ってくださったのであれば、「ぜひこの道を一緒に歩きましょう」と言いたいですね。
看護師になる時に病院を見学したり、医療の中身がどんな風であるかを見たり、その病院が求めている看護師がどんなものであるかをきちっと見て、「自分はどういうところで、どんな看護師として働きたいか」を考えて選んでほしいなと思います。

看護部長になる前について

学生の時から福祉に興味があったのと、母が養護教員だったことがありましたが、小さい頃から看護師になろうという風には思っていませんでした。高校時代に進路を考える時に、高校の養護教員に、どうしたらなれるんですかと聞いたんです。その先生が、たまたま私が結果的に行った看護学校を出ていたんです。その時に、大学に行かなくても養護教員になれるんだと思いました。そうして養護教員になる道を調べていた時に、看護学校に行ったら看護師の資格も取れて、進学して養護教員や保健師、助産師になれたりと、職業の選択肢が幅広いんだなと思い、看護学校に行くことにしました。
それから看護学校に入り、実習でガンで手術した患者さんと出会いました。自分が18~20歳の時に、患者さんの人生にかかわる状況を目の当たりにして、「自分はこれをやらなくちゃ!」という使命感が生まれたんです。「患者さん中心とはなにか」と考えたり、「患者さんが病気でとてもつらくて、あなたができる看護計画はないの?」と聞かれると、なにもできないけど必死になりますよね。そうして、「看護師になるんだ」という思いが強くなり、進学もやめました。

その後学校を卒業して、東京での教員研修を含めて7年勤めて、母校の看護学校の教員になりました。
最初に教員になったのは人事異動なのですが、「教員の研修に行かないか?」と上司の薦めがあったことがきっかけでした。そして教員研修で東京に行かせていただいて、その後教員になりました。
最初に学校の教員になって3~5年目くらいまでは「このまま病院(臨床)に行けなくなったらどうしよう」と不安でした。それでも、教員生活が8年9年10年となってくると自分も年齢をかさねて、臨床におられる指導者や師長さんが自分の歳に近づいてきますでしょ?そうすると、このままずっと学校に居てもいけないし、いつかやっぱり学校を出ないと臨床に戻れなくなるという思いがありました。教員8年目が終わる頃から、今なら臨床に戻れるかなという気持ちがあって、これからのキャリアを考える上でも戻りたいという希望がありましたし、その時の上司の先生も戻った方がいいという薦めもありました。ただ、希望して戻りたいということはできないので、人事異動で病院に戻りました。

看護師長や副看護部長などの管理職として臨床に出て、10年間で県内と県外の国立病院を4つ経験しました。単身赴任の時もありましたね。その後に再び、前にいた看護学校に教育主事として戻りました。
教育主事時代には、大学院にも行きました。研究テーマが「排泄援助における看護師の日常倫理」という、人の尊厳に関する研究です。石川病院に来ても、人間らしく生きられるように人を大切にして、人の尊厳を考えてケアをする、というのが私のテーマなんです。それは看護師さんに対しても一緒です。この病院にはご高齢であることや神経筋難病、重症心身障害だったりでご自分の意志を伝えることができなかったり、伝えることに時間を要する患者さんがいらっしゃるのですが、どうしても私たち看護師は自分のペースで患者さんの気持ちを判断したり、ケアを進めがちなんです。だから、そういうことがないように、心をくばってできるというのが、看護部の教育の中では重要なベースにしたいと思っています。医療行為や看護ケアをする時に、既に患者さんとケアを通して対話をしています。その時に「どんなお言葉をおかけするのか」「どんな風にケアをするのか」ということを、患者さんのお気持ちに配慮して、できるようになりたいですね。そう考えられると、看護師も心が温かくなりますね。
教育主事を経験した後、石川病院の看護部長になりました。今までの経験としては、臨床19年、学校16年で半々くらいなんです。病院の転勤や学校で勤務していたことで、石川県内であれば行く先々で知っている人がいるので、助けられています。研修会に行った時に元学生や一緒の病院で働いていた看護師がいると、声をかけてもらいますね。

好きな言葉・座右の銘

何事も「誠意をもって、粛々とやる」ということは思っていますね。がちゃがちゃ大騒ぎしたくないんです。スタッフも急性期は穏やかな人、慢性期は機転のきく人がかえって向いているというのが私の考えです。緊急だといって大騒ぎするのは嫌です。騒いでも早くできないので、静かに粛々とやるということですね。そんなに落ち着いてはいないけどね(笑)。粛々と、自分がその時できることは精一杯やるということです。
そうそう、諦めが悪いですよ、私。だから粘りますよ、やるまで粘ります(笑)。やっぱりやり遂げなければいけないことは、やると決めています。できるようにやります。意外にできますよ、諦めなければ。

休日について

前はスキーをしたりしていましたが、今は趣味も特にないし、なにもしないんですよ。映画も見るし、本も読みますが、趣味という感じではないですね。今は土日も病院の工事のことや研修があったりするので、週に1回はゆっくり大きいお風呂に入りに行くのと、録画したビデオを見ながらスマホゲームをしてだらだら過ごすくらいでしょうか。(スマホゲームされるんですか!?の問いに対して)しますよ、スマホのゲーム(笑)。LINEの簡単でシンプルなゲームをしたりしますね。指でパズルを消すようなゲームをタブレットですると、タブレットが大きいので指紋がなくなるのかと思うわ(笑)。
その他はお花を習いに行ったりしています。今はぼんやり癒されることをするのが趣味ですね。今後として、昔から描いているのですが、練習していつか主人とゴルフを回りたいなと思っています。

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