石川県済生会金沢病院

坂本 信彰さん 【お名前】 坂本 信彰さん
【施設名】 石川県済生会金沢病院
【ご紹介】 医療安全部感染対策室に勤務。感染管理認定看護師。
※取材日…2018年12月
 

看護師を目指したきっかけ

看護師になりたいと思ったのは高校2年の時です。勉強に部活に忙しく、体調を崩し、一時期学校に行っていませんでした。その時に行った病院で、少し前でいう看護婦さんが一生懸命働いておられるのを見ました。その頃の私は将来何になろうか決めていない時で、看護婦さんって男性でもなれるのかな?と思いました。当時の私は、看護婦と言ったら女性しかなれないものだと思っていたのですが、調べてみると男性でもなれることがわかり、「それならなってみようか!」と思いました。そこで、父に話をしたところ、私と同じことを言いました。「男の人がなれるのか?」と(笑)。
私が病院で見た看護師さんのように、一生懸命働く姿を誰かに伝えられるのはこういう職業なのではないかと思い、目指してみようと思いました。
その後、中高生を対象にした看護体験のイベントに参加し、バイタルサインの測定などの見学をさせてもらい、看護師が実際にどういう仕事をしているのかを知りました。

実際に看護師になってみて・やりがい

看護師はやりがいのある仕事だなと思います。 そしてとにかく忙しいので、自分が看護師になりたいと思ったきっかけである、「一生懸命働く」ということはすぐに満たせたと思います(笑)。
入職した時には少しギャップを感じました。学生の時は、一人の患者さんに対してどういうケアを行ったらいいのかアセスメントし、看護計画を立案します。そして実際にケアを行い、再評価し、PDCAを回す形で、一人に対してケアをしていく感じです。

しかし、実際に看護師として働いてみると、夜勤があったり、複数の患者さんを受け持ったりと、学生の時との違いがあります。タイムマネジメントを行い、しっかり仕事をやりくりしないといけないということには苦労しました。
状態が落ち着いている患者さんだったら、一日に五分か十分程しか話さないですし、ケアが必要な方だったら一時間くらいかかるわけです。自分が本当に患者さんと話したいなと思った時も、なかなか時間が取れないという現実がありました。学生の時に「こういうケアをしたいな」という看護観があったと思うのですが、そういうことを一旦忘れかかった時がありました。

そして一時期、看護を「仕事」としか見ていない自分がいました。 そういう気持ちが二、三年続いた頃、当時の師長が感染対策の委員会に声をかけてくださいました。その当時の私はそんな感じでしたから、面倒くさいな、と思った記憶がありますが、委員会の仕事をやらせていただきました。
感染というのは明らかに数字でわかります。何が何件出ている、千日あたりどれくらい出ているというように、アウトカムがすごくわかりやすいです。患者さんの目の前でケアを行うことも看護師の役割ですが、患者さんや職員などの職場全体を見て関われる仕事が、感染管理にはあると思いました。患者さんに対して迷惑はかけられないので、感染対策をすることは看護の一つですし、針刺し等の職業感染から職員を守ることも看護の一つだということを、委員会を通じて改めて知ることができました。

そして、感染管理について学びたいと思うようになりました。それで調べてみると、県立看護大学のキャリアセンターで次年度から感染管理認定看護師の教育課程が開講するという時期だったのです。「これは縁だ!」と思い、基礎から学ぶ気持ちで行かせていただきました。
七か月の間休職して学校に通ったのですが、楽しかったですよ~(笑)。皆さん感染管理を学びたくて学校に来た人たちばかりなので、同じ方向を向いていますし、皆熱く、それは楽しいですよ。
その時に三十人の内、男性看護師は四人いました。認定看護師の受験資格は、五年以上の実務経験と認定看護分野の三年以上の経験が必要で、私は六年目になる時に行ったので、一番年下でした。社会人としても浅い年次であり、それまでずっと同じ病棟で勤務していたので、社会というものをそこしか知りませんでした。教育課程に行くと、いろんな経験をしてきた看護師さんと話をするわけですが、「こういう価値観・考え方があるんだ」ということに触れることができました。

資格を取りたい、基礎から感染管理を学びたいということ自体は自分のためです。しかし、実際に認定看護師の資格を取得し感染制御を行うことで、患者さんや職員の安全を守り、病院の理念を目指して仕事をしているのだということがよくわかりました。

看護師を目指す学生へのエール

看護師になれるかな、やっていけるかなと、ネガティブなことを考えるよりも、看護師になった時や何かが出来た時の自分を想像してみてほしいなと思います。山Pは医師役ですけど、ドラマ「コードブルー」を見て、「こういうことが出来たらかっこいいな!」と私自身は思うタイプです(笑)。私は大学時代の実習に行く時にユニホームを購入するのですが、早く欲しかったです。ユニホームに憧れがありましたし、見た目から入るタイプです(笑)。
看護師になりたいと思うきっかけは正直なんでもいいと思います。親が看護職だからなろうかなでもいいと思いますし、就職してからもその時に出会った人や習い事など、いろんな影響で目指したいものが変わってくると思います。学生の時に価値観や看護観をしっかり育てることももちろん大切ですが、看護師になってから、社会に出てからが大切だと思います。
私がこの病院を受けた時の試験問題で、看護観を問われました。病気や疾患は患者さんやその家族にとって大変で苦しいことだと思いますが、それが生活のベースになることがあります。そして、病気が治ったり社会に戻れるようになった時に、何かをすごく大切にできたり、幸せに感じたりする瞬間があると思うのです。そういうことを患者さんに伝えていきたいな、というのが私の看護観です。看護師は、患者さんに目の前にある幸せを気付かせられるような仕事だと思います。実は、その考え方は某マンガに影響を受けました。マンガから学ぶことは多いですね。

学校では男性が少ないので、どうしてもグループのリーダーをやってとか、発表をやってということはすぐ言われます(笑)。役回りがそんな感じでしたよ。多勢に無勢ですかね。社会に出てからも、女性が多い職場ですからね、いろんな忖度をしないと(笑)。でもそれが上手くやっていくコツだと思います。

今の大学では、患者さんの複数受け持ちをするというように、就職後の現場を想定した看護の方法やタイムマネジメントを学ぶ実習をしているところがあるそうです。看護は看護師にとって「仕事」です。お金を貰っています。患者さんの安全を守るのはもちろんですが、その仕事を時間内に終わらせる必要もあります。点滴を決まった時間にいかなければいけない、患者さんと約束した時間にケアをしにいかなければいけない等ありますが、その時間を守れないと患者さんの満足度は下がります。そのため、患者さんの安全や安楽を守るには、仕事を上手くマネジメントしなければいけないと考えます。そのためにも、学生の時からぜひアルバイトをして、仕事とはこういうものだと知ることができる機会を持ったり、実際に働いている人の話を聞いてほしいと思います。
私自身はゲームセンターやこの病院でアルバイトをしていましたが、病院でのアルバイトはここに就職しようと思ったきっかけになりました。その時に働かれていた看護師さんが一生懸命仕事をしておられて、私の看護観と合ったのです。それで、ここで仕事してみたいなと思いました。実習だけだと期間が短く、なかなか見えないことがあります。

現役男性看護師へのエール

女性の患者さんで、受け持ちやケアの一部を他の看護師に変わってくれないかということはあるのですが、私の場合は「女性の看護師を呼びますか?」とこちらから聞くようにしています。患者さんは先生に言いづらいことがあると看護師に聞いてみようとなると思いますし、私は男性なのでなかなか患者さんが言いにくいこともあると思います。自分が患者さんの立場だったらと考え、こちらから患者さんに確認することが大切かなと思います。

その他、先のことを考え、男性の看護師としてどうなりたいか目標をしっかり決め、目指してほしいと思います。ジェネラリストとして一般的な看護を網羅していきたいのか、スペシャリストとして専門分野を学んでいきたいのか、組織の管理者としてマネジメントができるように成長していきたいのか。自分の方向性をしっかりと考え、何のために仕事をしているのか、自分の役割は何なのかということを考えて、仕事をしていってほしいなと私は思います。
私は、その中で言うとスペシャリストであり、立場上マネジメントも行っています。マネジメントに関しては、人や物、お金や時間などを管理することで、患者さんや職員にとって安全で安心な医療が提供されるのであれば、私に合っていると思います。自分のやっている仕事について、どこに縁を感じるかだと思います。

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