認定看護師 【脳卒中リハビリテーション看護】

櫻井 香織さん 【お名前】 櫻井 香織さん
【病院名】 医療法人社団浅ノ川 金沢脳神経外科病院
【分野名】 脳卒中リハビリテーション看護
 

認定看護師の資格をとろうと思った動機・きっかけ・取得時期

私が看護師を目指したのは22歳の時でした。会社で事務の仕事をしていたのですが事務職にやり甲斐を見い出せず、看護師である母親のアドバイスもあり、会社を辞めて准看護師の学校に入学と同時に今の病院に就職しました。准看護師の後には正看護師の資格も取得しました。

急性期病棟に配属されたのは看護師となって10年目の時でした。回復期病棟や療養病棟での勤務だったので、頭部・脊椎の術後の看護や脳血管撮影などの検査も経験がなかったのですが、その頃の指導は「先輩看護師の手技を見て覚える」というもので、ケアの根拠などは考えずに見て覚えた手技と経験知だけで看護を行っていました。脳神経疾患は障害される部位や程度により症状は多様な上に、複雑な高次脳機能障害を呈する患者さんや、高齢で合併症を発症する患者さんも多く、自己学習をしても理解できないことばかりだったのですが医師には聞くことができず、自分でも十分に理解できないまま後輩へ指導する立場になっていました。
自分の看護に自信がなく、勉強しても理解できない私でしたが「ケアの根拠をしっかりと把握した上で指導することができるようになりたい」という思いが強くなり、2010年に脳卒中リハビリテーション看護分野の認定が開始され、上司からの薦めもあって脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程、認定試験を経て2012年に資格を取得することができました。

資格が実際の仕事に活かされていること

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師は、急性期・回復期・維持期の全てにおいて、一貫した生活再構築のプロセス管理とセルフケア能力を高めるための計画的な支援を行わなければなりません。
私は認定看護師の資格を取得してから脳卒中ケアユニット(SCU)で勤務をしています。SCUは脳卒中を発症した超急性期の患者さんが対象で、私は画像を見ながら病態を予測して重篤化回避のためのモニタリングやケアを実践し、脳卒中による機能障害が最小限となるようリスク管理をしながら、廃用症候群の予防や社会復帰に向けて早期離床・ADL拡大のための支援を行っています。

認定看護師には「実践」「指導」「相談」を行う役割がありますが、自らの実践を通して役割モデルとなり、教育課程で学んだ「ケアの根拠」をスタッフへ指導しています。他の病棟にもラウンドをして相談にのることで、質の高い統一された看護を提供することができるよう努めています。また、脳卒中の患者・家族に対しては多職種と協働・連携しチーム医療を推進することで、在院期間の短縮や早期に社会復帰ができるよう支援し、看護師がチーム医療の要となるよう指導も行っています。ほかにも地域住民の方々に対して「脳卒中を予防するための日常生活」の研修を開催し、脳卒中予防のために啓発活動も実践しています。

認定看護師を目指す方に伝えたいこと・
その他(教育機関に行くまでの家族や職場との調整など)

現在の医療は機能の分化が進み、専門性が求められています。総合病院のように多くの科がある病院での経験も貴重ですが、単科の病院でも専門性を追求した看護が実践できる「認定看護師」「専門看護師」というスペシャリストへの道も選択することができます。自分がどんな看護師になりたいのかを想像して、ジェネラリストやスペシャリストを目指して欲しいと思います。

私は大阪の教育課程で7か月間学んで来ました。授業では有名な脳神経外科医に講義をしていただき、知識や技術、ケアの根拠を学んだことで看護師としての自信を持つことができました。私の場合は、認定看護師になるために必要な学費や居住費、交通費は自院に負担してもらった上に給料も頂いていたので、金銭面での不安は全くありませんでした。教育機関が県外にしかないことで、家族と離れて知り合いのいない場所で7か月生活することへの不安もありましたが、同じ志しを持つ仲間と出会うことができました。ただ、子供が8才・6才とまだ小さく、半年も家を空けることに迷いもありましたが、実際には1~2週間に1度 自宅に帰ることができました。また、子供との手紙のやりとりや電話での会話がとても新鮮で楽しく、愛情がより一層深まったように思います。

認定看護師としての活動実績(セミナー、講師経験など)

・院内:ランチョンセミナーを毎月2~3回開催し、看護職員にお弁当を持参して参加してもらっています。また、デジタルサイネージ(職員対象で各部署や病棟に設置してある画面に情報を発信するシステム、情報共有ツール)で脳卒中についての情報を毎月配信し、知識の共有も図っています。
・院外:石川県看護協会「病院派遣コース」では希望された病院に行き、困っている事例についてアドバイスを行いました。他にも公民館や入院患者さんを対象に「脳卒中を予防するための日常生活」についての講演も行っています。

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