【お名前】 石坂 祐子さん
【病院名】 金沢医科大学病院
【分野名】 救急看護
認定看護師の資格をとろうと思った動機・きっかけ・取得時期
私は、自分の働く病院内に認定看護師や専門看護師がいるということを知っていたものの、正直資格に対して全く興味がありませんでした。そんな中、「患者・家族との関わりはとても難しい」と思いながら救急外来で勤務してもうすぐ2年という頃、上司から「認定看護師の学校を受験してみないか?」と声を掛けられました。その当時、自分の後輩が既に認定看護師を目指して教育機関に通っており、丁度自分もこの先看護師としてどうして行くのか、何を目指して行こうかなどと考えている時期でした。そこで、認定看護師とはどのような資格なのか、どのような役割があるのかなどよく分からないまま、とりあえず「受験だけしてみよう」と考えたのです。今考えればとても安易な考えでした。
しかし「受験する」と決めてから、改めて"救急患者や家族への看護とは何だろう"と深く考えるようになりました。その後受験に合格、無事教育機関を修了し2009年に救急看護認定看護師の資格を取得しました。
資格が実際の仕事に活かされていること
救急患者の特徴として、突然の発症であることや緊急度・重症度が高いこと、不安や恐怖が強く精神的にも危機状態にあることなどが挙げられます。また、救急患者家族の特徴としては、予期せず突然発生する急激な出来事によって精神的な危機状態になること、患者状態を予測したり判断したりするための情報が少ない場合は、強い不安や苛立ちを生じることなどがあります。
私は、これらの特徴がある救急患者・家族だからこそ必要な看護があると考えています。救急患者は、身体的にも精神的にも危機状態にあるため、患者状況を的確に把握して医師など他職種とのチーム医療を行い、できるだけ早く危機的状態から脱することができるように救急看護を実践しています。
同時に、患者家族の心理的問題を把握して支援することも重要です。家族に対しては、家族ができるだけ患者状況を把握できて少しでも精神的動揺を抑えられるように、容易に理解できる言葉を用いて患者状態を正確に伝えたり、処置・検査・治療の経過を説明したりしています。
認定看護師を目指す方に伝えたいこと・
その他(教育機関に行くまでの家族や職場との調整など)
認定看護師になるためには、まず、日本国の看護師免許と通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)の実務経験が必要です。その上で6ヶ月・615時間以上の認定看護師教育機関(課程)を修了して、はじめて認定看護師認定審査(筆記試験)を受験できるシステムになっています。私は東京の教育機関に入学しましたので、職場では「長期研修」という扱いで約6ヶ月間東京に在住しました。
入学した教育機関の年間スケジュールは、4月:入学式、6月:開講、7・8月:試験、9~10月:病院実習(約1ヶ月半)、11月:ケースレポート発表会、11月末:閉講、翌年1月:修了試験、3月:卒業式です。教育機関に毎日通学するのは約6ヶ月間ですが、それ以外は日々仕事をしながら課題の提出をしなければならず、教育課程修了に1年を要します。講義や演習、グループワークといった内容で課題(レポートなど)も多く出るので、とても大変でした。しかし、同じ専門分野の認定看護師を目指しているもの同士、いろいろ話し合ったり、励まし合ったりして教育課程を修了することが出来ました。大変なことが多くありましたが、その分毎日がとても充実しており、様々なことを学ぶことが出来ました。一緒に学んだ仲間達とは、今でも連絡を取り合っており、それぞれの病院ではどう対応しているのかなど相談したりしています。また、学会へ参加した際に毎年同窓会を行ってお互いの近況報告などしています。
認定看護師としての活動実績(セミナー、講師経験など)
救急医療・看護に関した知識・技術についての院内研修(BLSや気管内挿管準備介助など)や、大学の看護学部・消防学校での講師・インストラクターを行っています。
また、県内の救急看護認定看護師や急性・重症患者看護専門看護師の方々と協力して石川県内看護師対象の救急看護研修の企画・運営を行っています。