【お名前】 滝内 章子さん
【病院名】 公益社団法人石川勤労者医療協会 城北病院
【分野名】 緩和ケア
認定看護師の資格をとろうと思った動機・きっかけ・取得時期
私が勤務している病棟は外科と整形外科の病棟ですが、術後の患者さんとともに化学療法の患者さん、終末期の患者さんなど様々な患者さんが入院されています。術後、入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を行い日々を大切に生活している方、急激な発症で入院した時には病状がかなり進んでいて、そのまま最期まで病院で過ごされる方。特に終末期になると倦怠感や呼吸困難、疼痛などの症状が取り切れず「ひどい、なんとかして」と訴えられる患者さんもおられました。
また、それまで家族の中心だった、主婦である女性が入院したことにより、家族の関係性のバランスが揺らぎ、終末期で家族のサポートが必要な時に、それが困難となった事例もありました。死が間近に迫っている中で必死に生きている患者さんと接しながら、看護師として自分に何ができるのかという無力感を常に感じていました。そんな時に先輩である緩和ケア認定看護師に「勉強してみませんか」と声をかけていただいたのがきっかけとなり、看護師経験8年目で緩和ケア認定看護師の資格を取ろうと決心しました。
資格が実際の仕事に活かされていること
資格を取得してまだ半年しかたっておらず、実際の仕事に活かされているかと言われると自信がありません。しかし、資格をとるための研修期間に学んだことは、日々の看護に大変役に立っていると感じています。患者さんやご家族が他者に対して攻撃的になるなど、あまり適切でないと思われる行動をとられている場合でも、その行動は患者さんやご家族がその時にできる精一杯の対処行動であったりします。
患者さんがたどる心理過程について学べたことは、看護の視点の幅を広げることにとても役立ちました。緩和ケアの分野では医療にできることには限界がありますが、その限界を知りつつ、それでも患者さん・ご家族のそばに寄り添って、生きることを最期の時まで支えることがケアであり、私たちの役割だと考えています。そのことを臨床の現場で悩んでいる看護師に実践、指導、相談という手段で伝えていきたいと思います。
認定看護師を目指す方に伝えたいこと・
その他(教育機関に行くまでの家族や職場との調整など)
認定看護師の研修を受けるにあたって、その時52歳だった私は、自分自身の年齢や経験の不足などを考えて、本当に大丈夫だろうかと躊躇しました。しかし「頑張って」「応援してるよ」と送り出してくださった職場の方々と、そして家族の協力があって何とか研修期間を終えることができました。 研修中、これまでの臨床で経験したことを専門知識と結び付けて学びなおすことでができ、また、一緒に学んだ研修生とのつながりも今は大切な財産となっています。これから認定看護師を目指したいと考えている方、一歩踏み出すことは、目指す分野での看護の力と自分自身の成長のチャンスになると思います。ぜひ挑戦してみてください。
認定看護師としての活動実績(セミナー、講師経験など)
緩和ケアチームの活動として週1回の会議、回診に参加しています。また、院内で緩和ケアリンクナース・ケアワーカー委員会を運営し、月1回の事例検討や学習会を開催しています。
今年度は、院内研修生セミナーで「緩和ケアの介入方法・麻薬、レスキュー薬について」「エンゼルケアについて」の講師依頼を受け、学習会を行いました。