認知症高齢者のアセスメントの目的(2)

治療可能な健康上の問題を見いだし、よりよい健康状態に導く

正しいアセスメントには、認知症の症状以外の問題や不調を見出すことも大切です。認知症高齢者の場合、自分で意思表示をすることが難しいため、バイタルサインなどからほかの疾患や薬の副作用などがないか、よく観察しましょう。

・現疾患、既往歴(バイタルサイン、検査データ、日頃の訴え、表情)
・身体不調を自ら訴えることが難しく、諸症状を把握し対応する
・内服薬(既往歴に伴う内服、抗認知症薬、抗精神薬など)の効果や副作用
・BPSDに対して、抗精神薬などの効果や副作用

高齢者の疾病をめぐる特徴

高齢者の疾病には、以下のような特徴があります。これらのポイントを念頭に置きながら、アセスメントする必要があります。

・症状、経過が典型的ではない(非定型的)
・慢性的に経過することが多い
・病状が急変しやすい
・脱水・電解質異常をおこしやすい
・意識障害・せん妄をおこしやすい
・薬物の副作用がでやすい

高齢者の視覚聴覚障害の程度を把握する

また、視覚や聴覚について、患者さんの障害の程度を正しく知っておくことも大切です。

人間が生活するうえで、必要とする情報の7~8割は視覚から得られるといわれています。高齢者になると、視覚が以下の図のように変化し、同じものを見ていても見え方やとらえ方が違う場合もあります。

さらに、聴こえ方についても、聴力(左右差など)、耳垢の有無、日常生活上の支障の程度(聴こえる範囲、コミュニケーション障害など)を把握しておくことが大切です。

高齢者の視覚の変化

高齢者の視覚の変化

 

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