終末期医療においては、患者さんや家族が大切にしていることや、希望することが何なのかを探り、意思決定の手助けをするのも看護の重要な役割です。
「希望を支える」ための意思決定支援。その手順は、以下のようになります。
(1)現在の状況を伝える
(2)そのうえで選択肢について説明する
(3)インフォームドコンセント→患者さんが納得いくまで説明し、同意を得る
大切なのは、患者さんや家族が説明について十分に納得することです。治療のメリット、デメリットを説明したうえで、患者さんが治療に対する意思表示を行うことができることが重要です。
患者さんの意思決定において、看護師が悪い知らせを伝える際に、看護師は以下のような役割を担います。患者さんの気持ちに寄り添うとともに、自分の役割をしっかりと認識するようにしましょう。
日本のがん医療において、患者さんに悪い知らせを伝える際の効果的なコミュニケーションを実践するための態度や行動を示したものが、「SHAREプロトコール」です。患者さんの面談の流れの中に、それぞれのスキルを意識的に取り入れて実践しましょう。
要素 | 内容 |
---|---|
Supportive environment | サポーティブな環境設定 |
How to deliver the bad news | 悪い知らせの伝え方 |
Additional information | 付加的情報 |
Reassurance and Emotional support | 安心感と情緒的サポートの提供 |
コミュニケーションの中で、看護師の役割としてとくに重要なのは、悪い知らせが伝えられたあとの、情緒的サポート、理解度や認識の確認、情報の補足や追加などです。
患者さんが自分の想いを表現しやすい環境を作ったり、それを正確に表現できるように手助けすることも、看護師の大切なコミュニケーションスキルです。そのためには、「NURSE」の技法を使います。
これらを実践しながら、患者さんにとって実現可能な目標は何か?残された機能、セルフケアは何か?など、今できることを一緒に考えていきましょう。
要素 | 意味 | 内容 |
---|---|---|
Naming | 命名 | 患者さんが自分の感情に注目し、自分の感情に気づくことを促すために感情に命名する |
Understanding | 理解 | 患者さんが抱えている感情反応は理解可能であることを伝えることで、その感情は正当化され、受け入れ妥当なものと伝えることになる |
Respecting | 尊敬 | 患者さんの気持ちを承認し尊敬の念を伝えることは共感を示す重要なステップである |
Supporting | 指示 | できるだけの援助をすることを患者さんに示す |
Exploring | 探索 | 焦点化した質問をしたり、感情の表出を促すことは、患者さんへのより深い共感的理解につながる |
患者さんとのかかわりの中では、多くの職種の方々と協働することも大切です。協働することで、それぞれの専門分野の視点から患者さんを総合的に看ることができます。カンファレンスの必要性もここにあります。
患者さんに対して、症状マネジメントの計画を本人、家族、多職種とともに考え、また、その結果の評価を必ず行い、計画の継続・修正をしていくことの繰り返しが大切です。