悪心・嘔吐 vol.2 アセスメント

悪心・嘔吐のアセスメントは、以下の項目に留意して、患者さんをよく観察しましょう。

 

アセスメント項目
  • 悪心・嘔吐の有無と程度
  • 症状・病期の把握
  • 最近(1週間程度)の悪心・嘔吐の状態
    いつ、どんな時に、どれだけの量、頻度、持続時間、パターン、吐物の色や臭いなど/水分出納、食事摂取量、便通など
  • 原因の把握
    消化管閉塞の有無、オピオイドの使用、治療の副作用など
  • その他
    随伴症状や前駆症状の有無など

 

評価ツール

Grade分類

悪心・嘔吐の重症度は、CTCAE v4.0が評価ツールとして汎用されており、実臨床における共通評価に繋がっています。ただ、この評価は、癌の治療法の安全性評価を容易にし、すべての癌領域での有害事象の記録や報告を標準化するために開発されたものであり、実地臨床が適切かどうかの監視や、異なった有害事象の重症度の比較をすることは目的としていないため、注意が必要です。

なお、悪心については、grade 1-3までの3段階、嘔吐についてはgrade 1-5までの5段階で設定されています(表3)。ただ、嘔吐は客観的評価が可能ですが、悪心はあくまでも主観であり、客観的な評価は困難であることに注意が必要です。

※左右にスクロールできます。

有害事象 Grade1 Grade2 Grade3 Grade4 Grade5
悪心 摂食習慣に影響のない食欲低下 顕著な体重減少、脱水または栄養失調を伴わない経口摂取量の減少;<24時間の静脈内輸液を要する カロリーや水分の経口摂取が不十分;≧24時間の静脈内輸液/経管栄養/TPNを要する 生命を脅かす 死亡
嘔吐 24時間に1エピソードの嘔吐 24時間に2-5エピソードの嘔吐;<24時間の静脈内輸液を要する 24時間にエピソードの嘔吐;≧6エピソードの嘔吐;≧24時間の静脈内輸液/TPNを要する 生命を脅かす 死亡

出現形態

●嘔気と嘔吐で両方で観察できる急性の現れ方

蒼白、冷や汗、逆流、嚥下の増加、胃の弛緩、下痢、体の折り曲げた姿勢、腹筋の収縮、胃の音や蠕動は決まってゆっくりになるか消失する。

●反対に持続する激しい嘔吐

脱水(代謝性アルカローシス、カリウム、塩化物、水素イオン不足など電解質のバランスを壊すことになる)

※左右にスクロールできます。

色・臭い 状態
黄緑色 胆汁が力強く胃の中に逆流した
鮮血色 明らかな出血または最近の出血
黒茶色 時間が経った出血または部分的に血液が消化された
便臭がある 下部消化管の閉塞

生活の支障は?

以下の項目に留意して、患者さんの生活に支障が出ているかどうかを確認しましょう。

 

  • 睡眠
  • 活動
  • 食事・栄養
  • 口腔内の清潔
  • QOLや楽しみなどの影響は?
  • 症状に対しての認識は?

 

アセスメントで大切なのは、現在起こっていることを、評価して何をゴールとするのか患者さんとともに話し合うことです。さまざまな角度から、患者さんの症状や置かれている状態を把握し、最善のケアの提供を目指しましょう。

 

 

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