【お名前】 浦 美奈子さん
【病院名】 石川県済生会金沢病院
【役職名】 副院長 兼 看護部長
【これまでのご経験】
学校卒業→大学病院(整形外科・外来・外科・口腔外科・内科・眼科を経て管理職に)→済生会金沢病院
※取材日…2016年4月
看護部長のお仕事について
事業については、今年だったら「継続看護をしよう」「高齢者や認知症の看護をしよう」という大きなテーマがあるので、それを実現するための仕組みづくりを考えます。そのために「こういう看護師を育成していこう」というような目標を立てていきます。テーマを決めたら、それに向けて一年間の計画を立てて進めていきます。
どこの看護部長さんもそうだと思いますが、看護部長は病棟や外来といった本業の看護のところをまず把握していなければいけません。そして、病院経営には看護の影響が大きいので、経営に関する項目の中で看護師が役割をきちんとしているかを見ていくことも重要です。
仕事のやりがいについて
「今年こういうことをやろう」と思っていたことが完成したりうまくいったり、患者さんにも看護師にも喜んでもらえたら嬉しいですね。最近も新人看護師を受け入れるためにすごく頑張って企画したのですが、研修で伝えたかった内容がきちんと看護師に伝わったようでした。企画した方も、努力が報われるというか、達成したいと思う目標に到達できるというのはいいなあと思います。
一年間の目指す姿があるとすると、それに近づいたり出来るという体験をすると、やってよかったなと思います。やはり自分たちと一緒にやっている仲間や相手の人が喜ぶというのが嬉しいですね。
看護師のキャリアプランについて
育児休暇明けの方には、復帰にあたって近況を確認し、どんな働き方をしたいかやどんな希望があるのかを調整しています。家庭と仕事をどう両立させていくかも、自分の経験や他の方から相談を受けたことを参考に、話をさせてもらっています。育児休暇をとって戻ってくる方は多いです。今の時代は、出産や育児が理由で退職という方は少なくなりましたね。
また、病院にも院内保育所があるので預けることもできますし、働きやすいように働く時間や場所を調整して勤務してもらっているので、職場復帰率は高いです。みんな元気に「出産してきます!」と産休に入られて、手続きのことがあるので生まれた後も病院に来るのですが、子どもの成長も見られて楽しみですね。出産や子育てにかかわる様々なことは、実際に経験しているので、「今頃はこういう風に悩むかな?」「この年頃だとこんなことを心配したかな?」ということは想像がつくので、親の心配を理解することができます。
面接などで学生に質問すること
実際に「なぜ看護師になりたいのか」を学生さんに聞くと、家族の影響が大きい人がいますね。例えば、家族の中に医療関係者や看護師がいて、その生き様を見ていてという人もいれば、うちの病院に入院している患者さんのお見舞いにきて、その時に働いている看護師の様子を見ていて「すごい」と思い、看護師になりたいと思ったという学生がいましたね。
その他に、「ふれあい看護体験」というのが看護協会であって、その体験にきていてそこから看護師になるのが夢という人もいました。また、看護実習の体験の中では、いい体験をした学生さんが多いですね。ある学生さんは、実習で失敗して、もう行きたくない位に引きずっていたのですが、頑張って実習して、最後に患者さんから「いい看護師さんになってね」と言われた、ということが背中を押してくれたみたいです。
その他に「困難に立ち向かう姿勢」も聞きたいと思っています。うまくいかなかった時や問題が起こった時にどうしますか、というのは聞きますね。「自分で何とかするタイプ」と、「誰かに相談に乗ってもらうタイプ」がありますが、自分で何とかするタイプはそれなりに解決の方法を見つけたり、誰かに聞きつつ自ら解決していけるようなタイプの人と、親などに全部話を聞いてもらうというタイプの人がいますね。
学生へのアドバイス
みんなと同じということも大切ですが、「自分の考えをきちんと持つ」ということも大事です。色々な側面から物事を考えられたらいいと思うので、人の意見も聞けるし、自分だったらどうかなという風に、自分に置き換えて考えられるトレーニングをしておいたらいいのかなと思っています。
それと今、病院として「自律した看護師」を育てたいと思っています。自律することで、「内省し、自分で振り返ることができる」「話一方通行ではなく、対話がきちんとできる」という力をつけることや、「慮る(おもんぱかる)」といって配慮よりも深く相手のことを考え、相手と自分の距離感も考えられることは大事だと思っています。看護師もそのようにできるといいなと考えています。そして「実践できる」ということも重要で、行動できない人はよくないと思っています。看護師は特に行動し実践できることが大切なので、自分で考えて行動して、またそれを振り返ってということが大事だなと思います。新人さんの教育でも「自分ができることってなんだろう」を挙げてもらって、行動レベルまで具体的にさせていくというのを早速始めています。
その他
看護部長になる前について
仕事し始めの時は、ひたすら遊んでいましたね。仕事以外の空いている時は、仕事の仲間と本当によく遊んでいました。それが10年くらいあって、その次の10年は勉強と家庭の両立の時期でした。すごく時間に追われていたので、時間を有効に使うことを工夫していました。食事の準備をしている時に食材を刻みながら考えてたり、子育て中は一人になる時間の確保が難しいので、トイレやお風呂の中で考え事をしていました。それが未だにあって、通勤時間の車の中で一日の仕事のイメージを作っています。「今日はこの仕事をしなければいけなくて、ここまでは準備できていて、着いたらこれの準備をしなければ!」ということを考えています。帰りは、家に帰ってしなければいけないことを考えるので、仕事のことをバサっと忘れて切り替えています。車の中でオンとオフのスイッチを切り替えています。
好きな言葉・座右の銘
大学病院時代にも、オリジナルのバッグ(手提げ袋)をつくったり、ボールペンを作ったり、そしてスタッフが書いた絵を基に、シンボルマークを作って旗を作ったことがあります。なぜ作ったかというと、皆が何かを目指して集まるというのがすごく大事だと思って。ただ言葉っていうのは分かりにくいので「この旗のもとに集まれ」という旗があるといいなと思いました。なんだかへんな提案をしたら、作ってもいいということになったのですが、お金を預けられて「失敗は許されない」という気持ちになりました。最終的な決断は部長がするのですが、提案をして何でもやらせてもらっていましたね。
休日について
家族が多くなってきたので、今の季節だと洋服を入れ替えたり、洗濯をしたりとひたすら主婦をしています。孫と一緒に何かするのも楽しいですね。いつもジュラシックパークみたいです(笑)。赤ちゃんもいるので、結構腕力がいります。
また、一時期活字から遠ざかっていたのですが、最近また本を読みだしました。最近はミステリー系の本が好きで、今は火村英生を読んだり、万能鑑定士Qのシリーズは全て読みました。読みだしたら一気に読んでしまいます。この間は七つの会議という池井戸潤さんの本を読んで、すごく面白かったです。院内でもコンプライアンスの研修を担当しているのですが、まさにそれに関するような内容でした。その小説に登場する人物のことを想像したり、仕事に繋がる内容もあってすごく楽しいなと思いました。以前は企業家の話や人を育てた人の本を、興味を持って読んでいました。本を読んで「先がどうなっていくんだろう」「なんでそうしたんだろう」と考えていくのが好きですね。
その他にはホットヨガをしています。ホットヨガを始めて代謝が良くなりましたし、気分転換になりますね。オンとオフの切り替えになっています。
・石川県済生会金沢病院