わいわい座談会 公立穴水総合病院編(1)

公立穴水総合病院の新卒男性看護師さんの座談会の様子をご紹介いたします。
4名の看護師さんは県内の大学を卒業し、4月に入職されました。「看護師を目指したきっかけ」や「この病院に就職した理由」について伺いました。(取材日:2019年5月21日)  

【取材協力】左から大野さん、住田さん、堂前さん、細川さん

看護師を目指したきっかけ

細川さん:私が小さい時に、父が仕事中に怪我をして入院したことがありました。そのお見舞いで病院に行った時に、笑顔で患者さんに接する看護師の様子と、怪我で入院しているけれど笑顔でいる父の様子を見て、人助けをする仕事っていいなと思いました。また、姉が医療系の仕事をしていることもあり、自分も医療系に進もうかなという気持ちになりました。

堂前さん:私が小学生の時に一週間ほど入院した経験があり、その時に看護師の方によくしてもらい、自分もそういう風にできたらいいなという気持ちになったのがきっかけでした。手術の前や手術室の中で麻酔で眠る前に、看護師さんが手術に関することではない別の話題で気を紛らわせてくれた記憶があります。

住田さん:看護師になろうと決めたのは、進路を決めるぎりぎりの高校三年生の一月でした。元々私も小さい頃から入院や病院にかかることがよくあり、医療の場が身近なものでした。高校に入ってからは、将来は医療系の仕事を目指そうかなと思っていました。いろいろな職種も考えたのですが、看護師ってありかなと思いました。県外出身なのですが、一人暮らしがしたかったのと、実家から程よく離れているところがよかったので、大学進学で石川県に来ました。

大野さん:中学生くらいから、人の命に携わる仕事に就けたらいいなと考えていました。そして医師よりも看護師の方が患者さんと関わる機会や時間が多いので、人と接する仕事の方がより自分に向いているかなと思い、看護職に就くことに決めました。

この病院に就職した理由

大野さん:私の出身が能登なのですが、この地方はどんどん過疎が進んでいるので、ここで医療に携わっていければいいかなと考えていました。この病院は地域に特化した病院ということと、私自身能登に住んでいることもあり、能登の現状を知る機会が多く、そういうところで医療職として働いてみたいと思いました。大学時代には保健師の実習で奥能登に来たこともあり、地域医療について学ぶ機会が多かったです。
もう一つの理由には、石川県の修学資金を貰っていたことがあります。

住田さん:この病院では、毎年夏に一泊二日で「あなみず地域医療塾」という勉強会が開かれるのですが、私は大学二年生の時に学長から「行ってみたら?」と声を掛けていただきました。元々、授業を通して地域医療や在宅医療に興味があったので参加することを決め、初めて穴水に来ました。地域医療塾ではグループに分かれ、その中で医師役、看護師役、家族役、患者さん役等を決めます。そして患者さんの事例に対して、訪問診療した時の関わり方や治療の方針を考えます。病院の官舎を模擬患者の家として、玄関に入るところから問診や処置まで行います。その後、良かった点やこれからの方針について評価をし、一連のPDCAのサイクルで考えていきます。実際に穴水病院に入院されていた患者さんの事例を基にするので、実演的でリアリティがあり、学生時代の私には刺激的でした。そして、外部の先生方とも簡単なセッションを行います。

その時に、この病院や他の病院から来た医療従事者の方々と話をして、地域医療をどうやって支えていくかを考える機会があり、その経験が面白いものとして印象に残りました。そして就職の時期になって、そういう取り組みをやっている病院に行こうかなと思ったことと、ここで働いている大学の先輩が声をかけてくれたこともあり、自分がやりたいことを一番近くで学べるのもこの病院かなと思い、ここに決めました。

堂前さん:学生の頃から県外で就職することは考えておらず、実家から通えるところがいいなと考えていました。この病院は私が外来で患者として通っており、病院の雰囲気を見ていて、「この病院はいいな」と思っていたので、就職先として選びました。看護師が患者さんに寄り添い、距離が近いところで接しているなという風に感じていました。地元は不便なところが多いですが、自然が多く、地域の皆さんも温かくて、いつ会っても同じように接してくれる雰囲気が好きです。

細川さん:私も小さい時にこの病院に患者として通っていたのと、父が入院していたのもこの病院だったので、病院の様子を知る機会がありました。大学生の時も実習でいろいろな病院を見たのですが、雰囲気的に自分が行き慣れたところの方がいいのかなと思うのと、実家に戻って家族の様子がみられたらいいなという気持ちがありました。そこで、この穴水病院を選びました。実家では祖父母と住んでいたことと近所に老人ホームがあって、昔から高齢者の方と触れ合う機会が多く、この病院は高齢の患者さんが多いので、自分が役に立つことができればいいな、楽しいのではないかなと思いました。

現在の仕事状況

大野さん:現在は病棟に配属され、月に数回程度院内研修や能登病院(公立能登総合病院)で研修があります。能登病院では能登の公立病院の新人看護師が集まって、合同研修会に参加しています。

住田さん:院内研修が多く、週に一回行われます。

大野さん:それは新卒看護師が技術を習得するための研修です。

インタビュアー:皆さん、配属先はどちらですか?

細川さん:私は混合病棟の配属です。細かく言うと、眼科、皮膚科、耳鼻科、内科です。眼科は白内障の手術をされる方がほとんどなので、一泊二日で退院される方が多いです。

堂前さん:私は大きく分けて整形外科、内科が中心です。

住田さん:私は内科、外科です。

大野さん:私は内科の担当です。まだ夜勤には入っていなくて、日勤中心で勤務しています。穴水病院ではパートナーシップ制度を採っているので、先輩看護師とペアで患者さんをみます。

住田さん:プリセプターの先輩看護師二名に対して、新人看護師一名が付いて、プリセプターのどちらかと新人がペアになって患者さんのケアを行います。

インタビュアー:男性の先輩がいらっしゃる方はいますか?

堂前さん:私はペアを組んだりはしていないですが、同じ配置のところに同世代の男性の先輩がいて、話しやすいですね。

学生(看護学生)と社会人(看護師)の違い

住田さん:学生時代は実習へ嫌々行っていましたが、今はそこまで思い詰めて家を出ることはないです(笑)。

一同:(笑)

住田さん:「今日、先生や指導者さんに何を言われるんだろう…」とか「記録が終わらない!」ということを思いながら実習に行っていました。しかし、今はその日の業務はその日のうちにしっかり終わらせて帰るので、次の日に仕事が残っていません。次の日に一から仕事を始められるということが、学生の時と気分的に違うかなと思います。朝に一日のタイムスケジュールを立てるのですが、患者さんの検査や処置等で時間が前後することがしょっちゅうなので、残って仕事をする時もありますが、しっかりその日で仕事を終えて帰れるのは、気が楽かなと思います。
学生の時と違い、今は複数の患者さんを一人で看なければいけないので、患者さんの情報をしっかり把握して、スケジュールを立てることが重要ですね。また、一人の患者さんに関われる時間も短いので、短い時間でいかに話を聞いてくるのかが学生との違いかなと思います。

堂前さん:大きく違うのは、患者さんに対してできる範囲です。学生の時は免許がないので、できることは足浴等の清潔ケアや温かいタオルをあててリラックスしてもらうことなど、出来る範囲がかなり狭いです。
看護師になって免許を持って働くとなると、薬を飲んでもらって確認したり、注射して薬を直接体内に入れたりと、出来ることが広がるのが一番の違いです。そしてその行為に責任が伴ってくるので、点滴の針を刺すことでも一つ一つ汗をかきながらやっています。前に自分が上手く針を入れられなかった患者さんの時は、特に緊張します。

細川さん:学生の時には、体温や血圧を測りに行くのも緊張していた記憶があります。そして今はそれらの数値測定を行いながらも患者さんに変わったことがないか話しかけ、反応も見ています。そういう風に患者さんと関われることで、特に緊張というのはなく、その患者さんとのやり取りが楽しいと感じています。
学生の時は指導者さんが怖いという印象があり、自分も免許がない立場なので、少し壁のようなものがありました。現在は、先輩は先輩ですが、一応同じ看護師という立場ではあるので、そこが学生の時と違うかなと思います。
その他、看護師として働くと、入退院の処理等で書類やデータを作成することもあり、学生の時よりも幅広く仕事に携わっています。その分覚えることは多いですが、やりがいもあります。

大野さん:学生の頃は血圧や体温を測るくらいしかさせてもらえなくて、点滴等の患者さんへの医療行為はしていませんでした。学生の頃に緊張感があったのは、看護記録や担当の看護師さんと先生に報告することでした。今看護師になって、点滴一つとっても間違いがあれば患者さんに影響がでますし、学生の時とは違う緊張感を持って仕事に臨んでいます。
また、学生と違って幅広く挑戦していかなければいけませんし、患者さんにどういう看護を提供するかについて、より深く密度の高い勉強をしなければと感じています。

⇒(2)に続く

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