金沢看護専門学校 先生へのインタビュー

金沢看護専門学校の先生にインタビューしてきました!
学校のいいところや学生の雰囲気などを紹介してくださいました。

【取材協力】
山口先生…教務主任。「看護学概論Ⅲ(看護と文献活用)」「看護研究」「精神看護学」などの授業を担当。
※2021年7月取材
※撮影時のみマスクを外しています

金沢看護専門学校のいいところ

当校は、浅ノ川病院グループの看護学校です。浅ノ川病院グループは、5大疾病「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」の医療を提供できます。病院グループは、浅ノ川総合病院・金沢脳神経外科病院・心臓血管センター金沢循環器病院・桜ヶ丘病院、さらに高齢者の療養型の千木病院の5つの病院があります。
これらの5つの病院は全て臨地実習施設であり、場所も学校から近いところにあります。浅ノ川病院グループへは、学生の希望で6割以上が就職します。卒業生が実習施設に多く活躍しているので、実習指導はとても親身で丁寧です。

また、当校は、東金沢駅から徒歩10分に位置し、アクセスもよいです。金沢市内にあるというのも魅力の一つです。
1学年定員が40名で3学年の学生数が120名となりますので、建物は少しこじんまりしていますが、そのことも影響してか、教員と学生の距離が近く、とてもアットホームな雰囲気があります。浅ノ川病院グループ自体がアットホームな雰囲気というのも影響しているかもしれません。

学生の雰囲気について

学生は、普段は学校生活を楽しんでいるという雰囲気ですが、臨地実習ではとても看護学生らしい雰囲気になります。
昨年COVID-19の影響で病院へ実習に行けなかった2年生が、今年7月に病院で基礎看護学実習Ⅱに実施することができました。ほぼ初めての病院での実習ということもあり、最初の頃は「実習についていけるかな」と心配しましたが、患者さんとかかわり、いろいろなケアに取り組む姿、看護過程に取り組む姿をみて、成長が素晴らしいと思いました。それぞれの学生がお互いを支え合い、持てる力を発揮して実習に取り組む姿は、本当に素晴らしいです。この姿を1年生にも見せてあげたいと思いました。

各学年の雰囲気にもよりますが、学生はとても助け合って学校生活を送っています。学生の中には、他者との関わりやコミュニケーションが苦手な学生もいますが、その学生が他の学生と関わろうとすれば、上手くサポートしてくれるので、そこは素晴らしいと思います。

授業を通して伝えていること・伝えたいこと

看護学校の3年課程では、1年生の4月から専門的な知識や技術を学ぶ授業がたくさん入ってくるので、学生はその専門用語の多さに驚き、わからないことも沢山あります。このわからないことをわかるようにする、探求する楽しさを感じてほしいと思っています。
2年生の基礎看護学実習Ⅱは、初めて、看護過程という論理的思考でケアを考え実践する実習です。この実習では、特に一人一人の学生と時間をかけて関わります。ゆっくりとその学生のペースで関わる中で、学生が「わかってくると楽しい」とつぶやきパッと表情が明るくなる瞬間があります。とても感動する場面です。

私は、精神看護学の講義と臨地実習を担当しています。精神看護では、自分自身が「ケアの道具」になります。つまり、自分のもっている知識や技術だけでなく、これまでの体験や感情、パーソナリティ全てがケアのために使われます。
この実習は、「再構成」という方法を使って、患者さんとのやりとりのある一場面を切り取り、それを実習記録に起こし、学生・実習指導者・教員でカンファレンスを行います。この「再構成」は、学生自身の対人関係の傾向も振り返り、自分自身を知り、それを看護にどう生かせるかを考えます。自分自身を振り返り知るということはとても勇気のいることでもあり、とても繊細な内容になります。
そこで、このカンファレンスは「心の安全基地」という雰囲気で行います。指導者さんからは「あなたのここが良いですよ」というメッセージはもちろんですが、指導者さん自身の臨床経験を語ってもらいます。学生はその体験の語りに聴き入っています。指導者さんには、失敗談も含めて語っていただけるようにお願いしています。
そして、この精神看護学実習は精神科領域だけではなく、他の領域の基盤となる学びが多くあります。この実習では、患者-看護者関係や病と共に生きる苦悩など、看護師を目指すにあたってこれからも考え続けてほしい課題を一つでも多くみつけるよう学生に伝えています。

こんなことも話されていました

小児科医の日下隼人が、その著書「ケアの情景」でケアについて以下のように著わしています。

「伴走する」
 私の付き合いは、まずは、「ランナーから少し離れて、見え隠れしながら黙って自転車でついていく」伴走者にように、病者に寄り添うことである。先導したり大声で「がんばれ」と言うわけでなく、ゴールで待ち構えていて「よくやった」と言うのでもない。その人が少し走り疲れて立ち止まったときに、さりげなく飲み物を出し、横からそっと声をかけるような付き合い。走りを見ていなければ、どのような飲み物を出せばよいのかも、出すタイミングもわからない。そのために目を凝らしてその人を見つめることが「観察」である。

私がこの著書に出会ったのは今から25年位前になりますが、「伴走する」というこの内容は、学生と患者さんのケアを考えるときよく思い出します。

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